猫が亡くなったときの届出は?犬の死亡届とのちがい・マイクロチップの場合

猫が亡くなったあと、役所へ何かを届けなければいけないのかと迷うことがあります。犬には「犬の死亡届」がありますが、猫についてはどこに何が書かれているのか、分かりにくいところです。

そこで、法令の条文と国の公式ページを読み、犬と猫でどこが分かれるのかを整理しました。分かれ目になるのは、マイクロチップを登録しているかどうかです。内容は2026年10月11日時点で確かめたものです。

場合 届け出る先と根拠 期限
犬・マイクロチップを登録している 指定登録機関(日本獣医師会)に「死亡等の届出」。動物愛護管理法 第39条の8。市区町村への届出は、市区町村の求めに応じた通知で届出があったとみなす定めがある(同法 第39条の7。運用は市区町村による) 動物愛護管理法は「遅滞なく」。市区町村への届出は30日以内(狂犬病予防法 第4条第4項)
犬・マイクロチップを登録していない 市町村長(特別区は区長)に死亡届。狂犬病予防法 第4条第4項 30日以内
猫・マイクロチップを登録している 指定登録機関に「死亡等の届出」。動物愛護管理法 第39条の8(対象は「登録を受けた犬又は猫」) 「遅滞なく」。日数の定めは条文にない
猫・マイクロチップを登録していない 動物愛護管理法 第39条の8の対象は登録を受けた犬猫。狂犬病予防法の登録と死亡届は犬について定められている この2つの法令の条文には定めが見当たらない

表の4つめの行は、「届け出は要らない」と国が書いているという意味ではありません。条文に書かれているのは犬と、登録を受けた犬猫の2つで、登録していない猫はそのどちらにも入っていない、ということです。

猫が亡くなったときの届け出はどうなっているか

市区町村への登録と死亡届を定めているのは狂犬病予防法です。第4条第1項は、「犬の所有者は」犬を取得した日から30日以内に、その犬の所在地を管轄する市町村長(特別区は区長)に「犬の登録を申請しなければならない」と定めています。

登録の主体は「犬の所有者」で、死亡の届出を定めた第4条第4項も「登録を受けた犬の所有者」についての条文です。条文はe-Gov法令検索の狂犬病予防法で読めます(2026年10月11日時点)。

厚生労働省のページも、飼い主の義務を犬について書いています。犬の鑑札、注射済票についてのページには「犬の飼い主には、 (1) 現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること」とあります(2026年10月11日時点)。環境省のマイクロチップ登録サイトにも、犬の飼い主は市区町村に狂犬病予防法に基づく犬の登録が必要だと書かれています(2026年10月11日時点)。

ただ、猫は市区町村への届け出の対象ではないと書いた国の公式の説明文は、見つかりませんでした。そのため「猫に届け出の義務はありません」とは言い切れません。確かなのは、条文が犬について書いているところまでです。条例など自治体が独自に定めていることまでは調べていないので、気になるときは市区町村の窓口で聞くのが確実です。

猫でも、マイクロチップを登録している場合は事情が変わります。動物愛護管理法の第39条の8は、次のように定めています。

「登録を受けた犬又は猫の所有者は、当該犬又は猫が死亡したときその他の環境省令で定める場合に該当するときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない」。

条文はe-Gov法令検索の動物の愛護及び管理に関する法律にあります(2026年10月11日時点)。期限は「遅滞なく」で、犬の死亡届のような日数の定めはありません。実際の届け出先は、環境大臣が指定した指定登録機関です。同法の第39条の10で、指定登録機関が事務を行うときは「環境大臣」を「指定登録機関」と読み替えると定められています。

省令の施行規則第21条の10では、届け出が必要な場合を3つ挙げています。犬猫が死亡したとき、獣医師がマイクロチップを取り外したとき、登録した識別番号で個体を識別できなくなったときです。届出は様式二十八の届出書で行うとされています。施行規則で読めます(2026年10月11日時点)。

落ち葉が散る石畳の庭の小道と木の門の水彩イラスト

マイクロチップを登録しているか確かめるには

登録の手続きを済ませている場合、手元には「登録証明書」があります。指定登録機関の操作マニュアルには、手続きに使う「マイクロチップの識別番号」と「暗証記号」は、登録証明書に記載されていると書かれています。詳しい手順は一般所有者向けの画面操作マニュアル(2026年7月の版)にあります。

環境省のQ&Aでも、死亡の届出のときに登録証明書が必要になるので、なくさないようにと案内しています。まず手元の書類から登録証明書を探してみてください。

暗証記号が分からないときは、再発行の手順がマニュアルに載っています。登録証明書が見つからなくても、マイクロチップの識別番号が分かれば、登録サイトのホーム画面で登録されているかどうかを調べられます(画面操作マニュアルの第9章)。識別番号も分からないときの調べ方は、今回読んだ国の案内では確かめられませんでした。指定登録機関にはコールセンターがあり、紙の届出用紙の取り寄せはここで受けています。よくある質問のページに書かれています(2026年10月11日時点)。

届け出の手順と費用

マイクロチップを登録している犬や猫が亡くなったときの流れは、次のとおりです。

  1. 登録証明書を手元に用意し、識別番号と暗証記号を確かめる。
  2. 指定登録機関(公益社団法人日本獣医師会)の登録サイトで、オンラインで死亡等の届出をする。紙で届け出ることもできる。
  3. 紙の場合は、届出用紙をコールセンターから取り寄せるか、登録サイトからダウンロードして印刷し、郵送する。
  4. 郵送のときは、登録証明書の写しか本人確認書類の写しを添える(令和7年2月版の案内による)。

環境省の飼い主向けQ&Aは、届け出について「オンライン又は紙による届出ができます。こちらの手続には、手数料はかかりません。」と案内しています。手数料の一覧にも「死亡等の届出 手数料はかかりません」と表示されています。環境省のQ&Aのページは「令和4年11月24日時点」、登録制度の手数料のページは2026年10月11日時点の表示です。紙の用紙の案内は死亡等の届出の案内(令和7年2月版)にあります。

届け出をしなかった場合について、環境省のQ&Aには「上記の手続きを行わないと法律違反になります」とだけ書かれています。罰則の有無や内容は書かれていません。動物愛護管理法の罰則の条文を読んだ範囲では、この届出を対象にした規定は見当たりませんでした。

犬や猫が亡くなって間もないときは、手続きのことを考える余裕がないかもしれません。条文の「遅滞なく」には日数が書かれていません。手続きは、できるときに早めに進めることになります。

犬の死亡届とのちがい

犬の場合は、狂犬病予防法の第4条第4項に市町村への死亡届が定められています。

「第一項及び第二項の規定により登録を受けた犬の所有者は、犬が死亡したとき又は犬の所在地その他厚生労働省令で定める事項を変更したときは、三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地(犬の所在地を変更したときにあつては、その犬の新所在地)を管轄する市町村長に届け出なければならない」。

猫のマイクロチップ登録済みの届け出と比べると、届け出る先と期限が違います。犬は市町村長に30日以内、猫は指定登録機関に「遅滞なく」です。犬の登録や届出をしなかった者は、同法の第27条第1号で20万円以下の罰金と定められています。

届出書に書くことは、施行規則の第8条に決まっています。死亡の当時の所有者の氏名と住所、登録年度と登録番号、死亡の年月日を書き、鑑札と注射済票を添える決まりです。正当な理由があるときは、添えなくてもよいとされています。鑑札と注射済票の扱いは犬が亡くなったときの鑑札と注射済票の記事にまとめました。

マイクロチップを登録している犬には、さらに別の定めがあります。動物愛護管理法の第39条の7は、市町村長の求めがあるときに環境大臣が市町村長へ通知をすると定め、通知を受けたときの扱いを次のように書いています。

「前項の規定により市町村長が通知を受けたときは、当該通知に係る届出があつた日において、当該届出をした犬の所有者から狂犬病予防法第四条第四項の規定による届出があつたものとみなす」。

この定めがどう使われるかは、市区町村によって違います。当サイトで扱う首都圏36市区の犬の死亡届のページを見ると、23市区がマイクロチップを登録している犬の扱いを書いていました。たとえば世田谷区のページは、環境省のデータベースに登録している犬はそこで届け出て、区への届け出はいらないと案内しています(2026年10月12日時点)。松戸市のページは、「令和5年4月1日以降」の扱いとして、環境省のサイトに登録している犬はそちらで手続きをするという書き方です(2026年10月12日時点)。世田谷区と松戸市の市区ページに、当サイトでまとめた内容があります。

この36市区の死亡届のページは、いずれも犬について書かれたものです。猫について届け出を求めているページは、扱っているデータの中にはありませんでした。市区ごとの期限と届け出方は犬の死亡届の記事に並べています。

乾いた草を挿した小さな花瓶と畳んだ布が置かれた棚の水彩イラスト

市区の窓口で聞けること

猫のことで市区町村の窓口に聞くときは、次の点が確かめられます。

  • 猫が亡くなったときに、市区町村として届け出や連絡を求めている手続きがあるか(条例など、市区町村が独自に定めていることは今回調べていません)
  • 犬の場合は、マイクロチップを登録していれば市区町村への届け出が要らないか、登録した時期などの条件があるか
  • 犬の死亡届の期限を過ぎてしまったときに、どう受け付けているか(この点を書いた国の公式の文は見つかりませんでした。扱いは市区町村ごとに違う可能性があります)

犬の死亡届の窓口は、保健所の生活衛生課などが多く挙がっています。市区ごとの窓口は犬の死亡届の記事の表で確かめられます。火葬や引き取りの情報はペット火葬の市区町村一覧にあります。

法令や国の案内は改正されることがあります。変わっていたことに気づいたときは、お問い合わせから教えていただけるとありがたいです。